「自然と人間との深い絆」(No.21)


教化部長 久都間 繁

 

 年末年始は、古代から受け継がれてきた行事や伝統が生活に色濃く現れるときでもある。日照時間が最も短くなるこの時期、冬至祭などの太陽にまつわる行事が北半球の各地で行われ、欧州ではゲルマン人の間にあった太陽神崇拝がキリスト教公認後は夏至は聖ヨハネ祭、冬至はクリスマスとなって伝えられ、日本では天下万民の罪穢(けが)れを浄める大祓(おおはらい)が行われている。

 

 夜の暗が深くなるこの時期は、星の光が最も輝きを増し、自然と人間との深い絆(きずな)に想いを致すときでもある。わが家では、七年ほど前から冬の暖房をバイオマス燃料(木材)を主原としたペレットストーブに切り替えた。これは循環型エネルギーである製材所から出たおが屑(くず)や間伐材を圧縮したものを燃焼させるストーブで、これの最大の利点は、化石燃料を使わずに家の中で暖炉なみの火を焚いて、安全に暖をとれるところにある。

 

 火は、死と破壊をもたらす一方で、私たちの生活に欠かすことのできない恩恵をもたらすため、古来から家庭で火のある場所は、神や先祖へと繋がる聖なる〝場〟とされていた。その「火」が家庭から消えたのは、数万年に及ぶ人類の歴史の中でもほんの数十年前のことで、火に替わって家の中心に据えられたのがテレビであった。そこからは間断なくコマーシャルが流れ、私たちの生活に文明の利器が次々と導入された半面、最も大切なものをどこかに置き忘れて来たのかもしれない。日本における年間三万人に及ぶ自殺者は、物質的な豊かさの中で失ったものの大きさを物語っている。その一つは、家の中心に置かれていた〝火の文化〟の喪失(そうしつ)であろう。

 

 洋の東西を問わず、囲炉裏、暖炉やペチカなどを囲んで家族で暖をとりながら心のひだに触れる会話が重ねられていたのだ。ペレットストーブはこの火の文化を蘇らせるための道具でもある。本ものの炎を見つめながら暖をとっていると原初的な気分に包まれるのが心地よい。手間の掛かる薪ストーブや暖炉に替わるものとして市街の住宅でも使えるため、欧州で広く普及し、日本でも次第に使われ始めている。

 

 さて、十二月末に青少年冬季一泊見真会(小・中高 23~24日)を開催する。初日は野川公園に行き倉橋、笹井両氏の生物学者の指導で、落ち葉の降り積もった冬の自然を観察して、子どもたちに樹木や生きものの生態に直接触れていただく予定だ。また、ガランとした冬木立の中を伸び伸びと駆け回ることで年末のうっ屈した気分を吹き飛ばし、翌日には「しめ飾り」と「鏡もち」を作り、これを家族へのお土産として晴れやかな気持ちでお正月を迎えていただこうと思う。合わせて餅つき大会も開催する。杵(きね)と臼(うす)を使った、つきたてのお餅でお昼がふるまわれるため、都合のつく方はお手伝いでご参加いただければありがたい。お正月を迎える前の、時の潮が静かに満ちてくるような、そんな懐(なつ)かしい時間を共に過ごしていただき、来春の講習会推進の活力にしていただければと思っている。